第二百四十三話:『かかりつけ医登録制を始めますー第②部』

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赤芽ネコヤナギ

てるさんは入院に関してはあまり乗り気ではなさそうでした。修さんにも尋ねましたが、くぐもった声で何か呟かれ、しきりと首を横に振っておいででした。まあ、暫く様子を見て改めて考えましょうかと提案し、その日はひとまず帰ることとしました。

 

翌日の午前診が始まって間もなくのことでした。担当のケアマネから電話が入りました。てるさんが慌てふためいて、救急車を呼んだようです。言っておられることがよくわからないのですが、かなり慌てておられるようですので、先生にも早く来て頂けないかとのこと。待合の患者さんに事情を説明して、どうしても診察しなければいけない数名の患者さんのみを診察し、すぐに駆けつけました。

 

自宅前の狭い路地にはすでにパトカーが二台止まっておりました。部屋に上がってみると、物部さんがトイレの便器に凭れ掛かるように突っ伏しておられました。すでに死後何時間も経過しているようでした。警察官5名、ケアマネ、筍、看護師さんで狭い部屋はもう立錐の余地もない状態。

 

「かかりつけの先生として死因は何と考えられますか?」

「もともと心房細動もあり、慢性心不全がありましたので、心不全の急性増悪か、致死的不整脈によるものではないかと考えます」

 

理由はよく解りませんが、結局、司法解剖に回されることとなりました。もしあの時、てるさんが筍に先に連絡を取ってくれて、その後の指示を尋ねてくれれば、すんなり病死として死亡診断書が書けたのです。残念なことでした。

 

救急隊が到着した時、患者さんがすでに死亡している場合には、救急隊員は病院へは搬送しません。当然の義務として警察に連絡を入れます。警察は死亡原因に何か不審な点はないかと調べます。人間関係や相続絡みの問題も詳しく聴取されます。何より司法解剖にはとても時間が掛かります。ご遺体はなかなかお家に戻れません。

 

かかりつけ医があれば死後24時間以内であれば、死因に不審な点がなければ死亡診断書が書けるのです。いざという時のために「かかりつけ医」を持っておかれた方が良いと考えますが如何でしょうか。かかりつけ医登録に興味があるとお考えの方はクリニックのスタッフまでお気軽にお問い合わせください。

 

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