第二百話:『がん探知あれこれ』

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皆様はがん検診を受けておられますか?自治体が毎年実施しているがん検診には、胃がん、肺がん、乳がん、子宮がん、大腸がん、前立腺がんなどがありますね。なかにはPET検診や人間ドックなど、かなり費用も手間もかかる検診を受けられている方もおられることでしょう。

 

今日、ここでご紹介するのはちょっと変わった2種類のがん検診についてです。“ちょっと変わった”と言っても、学問的根拠がないような怪しいがん検診ではありません。どちらもしっかりとした施設による、しっかりとした研究の成果です。がん関連学会での発表も既に幾たびかなされています。

 

ひとつめはがん探知犬です。イヌは人間の数万倍もの嗅覚能力を持ちます。イヌが持つ特殊な嗅覚を利用して、がんが発する匂いで、早期発見につなげようとする試みです。現在までに報告されたがんの種類は、乳がん、子宮がん、大腸がんなど30種類以上にのぼります。特に、子宮がんでは50例以上の尿サンプルで、すべての子宮がんを嗅ぎ分け、特定できたといわれます。

 

がん探知犬は人間の呼気や尿の匂いを嗅ぐことで、非常に高い確率でがんの早期発見を可能にする可能性を示しています。犬が探知できるがん特有の匂い物質は未だ同定されてはいませんが、もしそれが同定できれば、その匂い物質に鋭敏な感度をもつセンサーを開発し、そのセンサーを使ったがん検診が可能になるかもしれません。

 

問題はその費用です。がん探知犬一匹の要請にかかる費用は約500万円以上なのです。僅かながらでも援助してやろうとのお志がある方は、以下の口座までご寄付をお願いします。

 

 

『がん探知犬支援募金』

募金講座:千葉銀行 白浜支店 普通3119019

講座名義:ガンタンチケンシエンボキン

 

 

さて、二つめのがん探知の試みは、僅か体長1mmの線虫です。線虫というと、「なんじゃそれは?」となる方も多いことでしょう。ではアニサキス(体長約1cm)はいかがでしょうか。サバやいかの刺身などを食べた後、猛烈な腹痛で救急病院へ担ぎ込まれたなどという話をお聞きになられたことはございませんでしょうか。

 

実はこの線虫の研究のとっかかりがこのアニサキスなのです。アニサキスの症例報告をよく調べてみると、口から入ったアニサキスが胃の粘膜に食い込むのですが、アニサキスは好んで胃がん周辺の粘膜に食い込むことが多いらしいのです。

 

そこで体長僅か1mmの線虫のお出ましです。水中に生息する微小な線虫は嗅覚がイヌ並みに優れているのです。この線虫に人の尿の匂いを嗅がせると、がん患者の尿に好んで集まり、逆に健康な人の尿に対しては嫌がって遠ざかるというのです。

 

九州大学医学部の研究グループの報告によれば、健常者218人、がん患者24人、計242名の被験者の尿で調べたところ、がん患者24名中23名に陽性反応(発見確率95.8%)を示したとのことです。一方、健常者を誤ってがんと診断する確率が約5%あるとのこと、精度の安定化が今後の課題です。

 

イヌにしろ、線虫にしろ、がん発見の確率は現在使われている採血をしての腫瘍マーカー(CEA、SCC、CA125、CA19-9、PSAなど)などよりははるかに高精度なものです。特に早期のがん(stage 0 & !)発見率は、腫瘍マーカーでは0~33%に止まりますが、線虫による確率は88%の高率です。

 

特定のがんだけに反応する線虫の開発のも既に一部成功しており、近い将来、痛みなし、採尿だけという、より安易かつ安価ながん検診が導入される時代が来るかもしれません。

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