第百三十五話:『山中の月』

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『山中の月』

真山民、姓も名も出身地も出生年代も全て不明。専ら山中に隠遁し、自らを真山民と称す。詩編一編を残す。

「山中の月」  真山民

我愛山中月

烱然掛疎林

為憐幽独人

流光散衣襟

我心本如月

月亦如我心

心月両相照

清夜長相尋

 

我は愛す山中の月

烱然として疎林に掛かるを

幽独の人を憐れむが為に

流光衣襟に散ず

我が心本月の如く

月の亦我が心の如し

心と月の両ながら相照らし

清夜長しえに相尋ぬ

 

私は葉も落ちたまばらな樹々の間の山中に月が輝いてるのを愛している。自分は世を捨てた隠者であるが、月は憐れんで清い光を注ぐが如く、木の間より我が襟に注いでいる。私の心は月のように澄んでいるが、月もまた私のように孤独なのであろう。我が心と月がお互いに照らしあって、この清き夜をいつまでも尋ね伴うことであろう。

なかなかいいでしょ、この詩。

好きなんだよね、この感じ。

和歌山の山を下りてからは、今ではもうそんな月を見ることもできなくなってしまいましたが・・・。

夕診を終えて自宅に戻るときに、時々、東の空に月が浮かんでおります。そんなとき、この詩が浮かぶのです。

時々、ふっと、あの頃が懐かしくなります。 いつか、また、「山中の月」を眺めてみたい。あの山懐を散策してみたいのです。

 

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