第五十六話:『わが父のこと 序文』

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 東海地方もすっかり冬めいてまいりました。北国ではそろそろ根雪となる頃なのでしょうか。この秋、北海道苫前にあるクリニックで診療に従事致しました。常勤の院長先生が年休を取るとのことでの穴埋めです。苫前の冬はとても厳しいらしく、気嵐やホワイトアウトなど、聞くだに恐ろしげな自然の猛威、住民の皆様も大変な時期を迎えるべく準備に余念がないようでした。「雪虫がこれだけ舞うのに今年はまだ雪が降らねえ」、ある患者さんが診察室で話してくれました。例年ならとっくに初雪が降っている頃だそうです。

 

 

 

 その苫前での勤務を終え、久しぶりに故郷に戻り、ふと思い立ち、朝の散歩がてら、父の墓参りをしてきました。わが愛しの山の神が定期的に掃除をしてくれているようなので、お墓周りはとても奇麗に保たれておりました。これだから頭が上がらないのです、うちのかみさんには。

 

 

 

 さて殊勝にも筍が父の墓参りに行ったのはある目的があったからです。以前よりわが父のことを一度文章にしてみたいと想い続けておりましたので、心の整理と云いますか、父の許しを請うと云いますか、そんな気持ちで参ることにしたのです。周りに生えた雑草を抜き取り、墓石を磨き、花を替え、蠟燭を立て、線香に火をつけ、そして合掌。

 

 

 

 文章に書き留めることは心を整理することに繋がります。果たしてどのような語彙をもって、どのような文脈を介して、父のことが如何様に浮かび上がるのでしょうか。自分でもはなはだ興味深いところです。実を申せば父の末期の出来事に関しては、未だ心の整理がついていないのです。いま一度、あのときのことを冷静に反芻してみれば、多少なりとも決着に近づけるかもしれません。

 

 

 

 明日より徐々にブログにアップしてゆきます。読者諸氏がいかなる感想をお持ちになるかは筍にとって問題ではありません。勝手に自省を申し述べるのみです。自らの原点とも云うべき、あの時間を、あの感情を、いま一度想起します。

 

 


 

 

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