第百五十三話:『笹百合の咲く頃』

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梅雨のこの時期は、紀州の山間ではきっと笹百合が咲き始めているころでしょう。杉や檜の樹間に山肌を見上げると、雨粒に濡れやや傾いだ笹百合の群生を見ることができるのです。残念なことに最近では猪の食害や、都会からやってくる心なき花盗人の為に、その群生地も随分少なくなってしまいました。

学名はLirium japonicum、別名“匂いゆり”と呼ばれるように、とても芳しい匂いを漂わす薄紅色の可憐な百合、筍の一番好きな花の一つです。“ささゆり”とは葉の形が笹に似ていることから、また“さゆり”は早くに咲く百合、あるいは五月百合からきたものでありましょうか。

台風8号が接近するこの荒天にも負けず、紀州の山奥ではきっと笹百合が揺れていることでしょう。

 

「薄紅の 匂い芳し ささゆりの たが化身とや やまかげに咲く」

筍亭

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