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(前段略ス)身をも人をも頼まざれば、是なるときは喜び、非なるときは恨みず。左右広ければさはらず。前後遠ければ塞がらず。せばきときはひしげくだく。心を用いること少しきにしてきびしきときは、物に逆らひ、あらそいて破る。ゆるくしてやわらかなるときは、一毛も損せず。

人は天地の霊なり。天地は限るところなし。人の性なんぞことならむ。寛大にして際まらざるときは、喜怒これにさはらずして、物のためにわづらはず。                   「徒然草 第二百十一段」

 

「何も頼りにせんときよ」

てめえも他人も頼りにせんときゃ、物事が予定通りにいったときにゃ素直に喜び、たとえ上手くいかんかったときでも、誰をも恨みはせんもんじゃ。孤高を保ち、前後左右に十分な余裕を作っておけば、押し合いへし合いして行き詰まることもねえんじゃ。もしもよ、息苦しく感じることがあるのなら、そいつをちっと脇へと押しやっときゃいいんじゃよ。気構えが足らぬまま厳しき状況に陥るようなことになってはのう、事ごとに言い争い、啀み合って、己が傷つく結果になりかねんのさ。のーんびりと構えて気分をゆったり保てばのう、たとえどんな事態が起ころうとも、毛ほども傷つかんものなんじゃよ。

人は天地の間でもっとも尊いものなんじゃ。天も地も限りがねえように、人間だってそうあるべきなんじゃ。心寛くもってさ、ゆったりと構えとりゃ、怒ったりも恨んだりもせんもんじゃろし、しょーもない物欲に煩わされることもねえんじゃよ。

 

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