第七十一話:『浅市のとっつぁん その二』 すきま風が吹き込む襤褸アパートの一部屋の、薄汚れた煎餅布団に包まって、いったい幾日が過ぎたことでしょう。今が昼なのか夜なのかさえ定かでなく、饐えた臭いの籠ったこの部屋で、誰にも気付かれずに死んでゆくのも悪くはなかろう…Category生きる哲学Love it 0