いつものことながら
花の頃は落ち着かぬ
咲き始めから
僅か旬日の儚さ
花に嵐の例えのごとく
その盛りには決まって
花散らしの雨が降る
世はまさに春爛漫
花の下で浮かれ酔うひとびと
いま少し
こころしずかに
愛でようではないか
あるものは三分咲き
あるいは五分七分
またあるものはもはや満開
華やかこのうえなし
花見にいかんと心急くも
なかなかゆとりの刻は得られぬ
ようよう取りたる僅かなときに
花を求めて流離う
願わくば花の下にて春死なむ
その如月の望月の頃と詠ったは西行だったか
桜の木の下には死体が埋まっていると
謂ったのははて誰だったか
そう考えるのも無理はない
さもなくばあれほどの豪華絢爛
あろう筈がないではないか
さくら、サクラ、桜が咲いた
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