筍診療所は今日も患者さんはまばら。ひねもす、のたり、のたりと、暇を託っております。ですが、そろそろ薄暗くなりかけた夕間暮れ、珍客、いや、賓客、それも淑女トリオがお揃いでのご来院。思わず笑みが溢れっちまう筍でした。 聞…
お房婆さんは今年八十九歳、まだまだ元気です。二、三週間毎に規則正しく外来受診されております。ある日のことです。お房さんを診察室に呼び込んだ時のことです。お房婆さんについてもう一人の婆さんまで入ってきました。 「あなた…
かず婆さんは今年八十歳、最近いよいよ腰が曲がってきて、蝦の二つ折りのようです。先日、お風呂場で足を滑らせて尻餅をついた拍子に左手関節をしたたかに打ち付けてしまったらしい。近所のひとが診療所まで運んできました。 「だ…
午前の診療もようよう終わり、午後の往診に備え準備に余念のないある昼下がりのこと、けたたましく電話が鳴りました。 「もしもし、たけのこ診療所ですが」 「わたし夏江です。なんやからだが、しんどおて、しんどおて、どもならんの…