河童伝説は日本全国至る所にあります。河の童、河のわっぱ、がわっぱ、がっぱ、かっぱと呼ばれるのでしょうか。また、河太郎という呼び名もあります。これが訛って、がいたろう、げーたろう、がたろうと呼ぶのでしょう。  河童は、頭…

  ひとの生死の繰り返しはの、まっこと澱みに浮かぶ泡沫(うたかた)じゃあ、かつ消えかつ結びてのう。儚いもんじゃ。 あっという間に喜さぶの四十九日の忌明けの葉月己(つちのと)巳の日となったんじゃ。いごけるもんの殆…

リラの蕾     どれほど昔のことじゃったか、今はもう定かではないがの。木の國平井の庄、立岩の淵のちっと上に喜三郎という百姓と権八ちゅう牡牛があったげな。喜三郎は働きもんで、いっつも権八と一緒でのう。…

幾重にも折り重なった南紀の山々に分け入り、彼方の山の頂やこなたの深い谷筋などを眺めるとき、いかにも松根の松太郎が樹々の間からヌッと顔を出してもよさそうな、そんな不思議な何物かの気配を妙に生々しく感じることがあります。 こ…

「どれどれちっと眼え開けて、儂の指を追いかけるんじゃ。よしよし、こいでお仕舞いじゃ。あとはの、この眼薬を毎朝毎晩注すんじゃぞ。忘れちゃあかんぞ。だんだん見えるようになるでの。心配せんでええ。きっと治るでの」 熊野川の源庵…

眼の見えんお千代は平気じゃった。身の丈六尺五寸、髭ぼうぼうで顔中毛むくじゃら、眼だけが爛々と光る松太郎の姿を見れんのじゃから。 「どうかきやってけれえ(許してやる)。こん(この)にんにこ(握り飯)やるけ、きやったって」 …

    どれほど昔のことじゃったか、今ではもう定かではないがの。  木の國大塔山の山中深くに、「松根の松太郎」っちゅう山男が棲んどったげな。 松太郎は身の丈六尺五寸、髭ぼうぼうで顔中毛むくじゃら、眼だ…

平井川地区の集落のはずれ、山のすぐ麓にその「庵寺」はありました。ちょうど初夏の好天に恵まれ、墓所を訊ね歩いていると少々汗ばむほどの陽気でした。 少し高台にあるその庵寺の猫の額ほどの境内からは谷筋の疎らな集落が見渡せます。…

「てきゃ(あのひと)のう、わえくちゃじゃあ。毎日、毎日、明るいうちから酔いさらして、涎喰うて(涎垂らして)寝ちょるんじゃ」 「どがいなもんじゃろのう、でもおもしゃいで。てきゃのう、とんがらしを肴にして、股ぐらに濁酒抱えて…

やらせ(北風)の吹き荒ぶ寒い寒い日のことじゃった。木の國平井川の里へ垢まみれのぼろぼろの衣を身に纏うた独りの男がやってきたと。髪はぼさぼさ、髭はぼうぼう、てんてらてんに黒光りした布袋竹の杖をつき、首には何が入っとんじゃろ…

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