「老化の四原則」 1. 内在性 2. 普遍性 3. 進行性 4. 有害性 1. 内在性 それぞれの老化のプログラムは、誕生のときすでに遺伝子の中に組み込…
せっかくやって来たのです。診察台に上がってもらいました。型の如くに診察を進めていたら、お滝婆さんがさも気の毒そうに筍に云うのです。 「せんせも因果な商売やなあ。こんな皺くちゃな乳触らないかんし、臭うて穢い爺さんも診にゃな…
謝恩会の終了後、外科学講座に入局予定の同級生は教授に引率され、かねて憧れの“北新地”へと繰り出すことになったのです。このため父は独りで私が住むアパートへと帰ることになりました。私鉄の駅から歩いて十五分程の閑静な丘陵…
豊子婆さんは80歳。毎回、診察室に入るや否や賑やかです。 「まあ、せんせ。せんせのお陰で元気にさせてもろて。いつもいつもありがとうございます。アハハ、オホホ、ヒヒヒ、フフフ」 具合はどうかと訊ねるまえからこれです。そん…
『バイカウツギ』 「夕鶴」のおつう役で一世を風靡した山本安英さんをご存知でしょうか。 新劇の大女優でした。20年前の今月20日が命日です。 あのかたの言葉にこんな…
零余子(むかご) かたち醜けれども知らず 心の愚かなるをも知らず 芸の拙きをも知らず 身の数ならぬをも知らず 年の老いたるをも知らず 病の冒すをも知らず 死の近きことをも知らず…
蟻のごとくに集まりて 東西に急ぎ南北に走る 高きあり 賎しきあり 老いたるあり 若きあり 行く所あり 帰る家あり 夕べに寝て 朝に起く いとなむ所 何事ぞや 生をむさぼり 利を求めて止むときな…
書斎を片付けていたら、「ころりの鈴」がふたつ出てきました。素朴でかつ澄んだ音色の土鈴を何処かの道の駅で見て、自分で作ってみたことがあるのです。白萩、織部、伊羅保、黄瀬戸、そば釉など、色々試しましたが、今、…
筍は診察中にお年寄りに向かってよくこう云います。 「こんなに機嫌がいい心臓なら当分止まることはないねえ」 すると多くの婆様達はこう返されます。 「もういつお迎えが来てもいい。早く迎えが来て欲しいもんだ」 「まだ動くかね…
庭の柘榴 僅か300文字足らずの般若心経には、私たちが悟るべき全ての真理が凝縮されているように想えます。般若心経を読む度に、素晴らしい哲学がここにあると気付いては居りました…