まほろばの みずほのくにのほこるべき でんとうとぶんか とうにすてさりかえりみることもない たましいの こんげんをささえる ひいずるくにのてつがく いずこへむかうべきあてもない ちまたにあふれかえる じさつ…
今日 如月の朔日 か弱かった日の光に 力漲る気配 遠くの山肌に 早緑濃くなる気配 梢に鳴き交わす鳥の囀りに 艶ます気配 春の言葉 寒明け 余寒 春の風邪 初午 下萌え 猫の恋 野焼き 山焼き 針供養 …
「孤独」 孤独が 孤独を 産み落とす ごらん ようやく立てたばかりの幼児の顔の 時として そそけだつような寂しさ 風に 髪なんぞ ぼやぼやさせて 孤独が 孤独を 産み落とす …
「友人」 茨木のり子 友人に 多くを期待しなかったら 裏切られた!と叫ぶこともない なくて もともと 一人か二人あらば秀 十人もいたらたっぷりすぎるくらいである た…
「知命」 茨木のり子 他のひとがやってきて この小包の紐 どうしたら ほどけるかしらと言う 他のひとがやってきては こんがらかった糸の束 なんとかしてよ と言う 鋏で切れいと進言するが 肯じない 仕方なく手伝う もそ…
例年、立春から雨水が近づく頃になると、いつもある詩人のことを思い出します。 茨木のり子さんです。御命日が如月の十七日。ご自宅でお独りで亡くなられていました。享年七十九歳でした。 いかにも茨木のり子さんらしい御最後で、貴…
「世にふるも さらに時雨の 宿りかな」 飯尾 宗祇 「世にふるも さらに宗祇の 宿りかな」 松尾 芭蕉 「蓑虫の ぶらと世にふる 時雨かな」 与謝 蕪村 「うしろすがたのしぐれていくか」 種田山頭…
『よしあしを 君し分かずは 書きたむる ことのはぐさの かいやなからむ』 新続古今和歌集(雑) こころの うちの すべてを わかってほしくて あるがままに きみ…
『浜茄子の実 熟す』 わたしは歩いた 歩き続けた 歩きたかったから いや歩かねばならなかったから いやいや歩かずにはいられなかったから 昨日も歩い…
ちちはは老いたまふ ちちはは腰曲がりたまふ 背戸の茶の木畑に 夕日かげりて ちちはは小さく見えたまふ その息子不幸者にして 肋膜なんぞわずらい 六尺に寝そべり 指鳴らすわざ 習わむとすれ…