第四十八話:『インフルエンザよもやま話 その2』

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 インフルエンザの流行は温帯よりも緯度の高い地域においては一般的に冬期に流行します。ですから北半球では12月から3月、南半球では6月から9月が流行期となります。亜熱帯・熱帯地方では雨期にその流行が見られます。日本では毎年11月下旬頃より始まり、1月から3月にピークを迎え、4月から5月には消褪するというパターンを示すのが一般的なパターンです。

 昨シーズン流行のインフルエンザは、AH3亜型、AH1pdm09亜型、B型Victoria系統株とYamagata系統株混在、という結果でした。昨シーズンのワクチンに使用されたウイルス株はこの流行株とほぼ相似したもので、ワクチンの有効性が確定されました。ことし流行が予想されるA型/B型インフルエンザも恐らく昨シーズンの流行株から大きく変異するものではないことが予想されています。ワクチン接種により体内に十分量の抗体が産生されるまでには約一ヶ月を要します。11月下旬頃から流行が始まるとすればもう接種しなければいけない時期となっております。流行が始まってからの接種では遅いのです。ワクチン接種をお考えの方は急ぎその手続きをなされるべきですね。特にリスクの高い高齢者と小児以外は原則一回の接種で十分です。13歳未満の小児は3〜4週間の間隔をあけての二回接種が基本です。ワクチン接種は感染予防効果と感染した場合の軽症化に有効とされています。

 インフルエンザは感染暴露後2日から3日間の潜伏期をおいて38〜39℃の突然の高熱で発症します。発病初期より倦怠感、関節痛、筋肉痛、頭痛などの全身症状が強いことが特徴です。咳や痰、鼻じゅう、咽頭痛などの感冒症状は遅れて出てきます。インフルエンザはいわゆる普通の風邪とは全く異なります。素人判断で寝ていれば治るといった安易な対応は避けたほうが無難です。解熱剤の使用も医師とよく相談して下さい。特に小児への解熱剤(アスピリン、ポンタール、ボルタレンなど)投与は重篤なライ症候群を誘発したり、インフルエンザ脳症併発時には死亡率が高くなるといった報告がなされていますので厳禁です。高齢者、糖尿病や慢性呼吸器疾患患者、免疫機能や腎機能低下例では、二次感染として肺炎・気管支炎などを併発し、死に至る危険性が高くなります。小児では中耳炎や熱性痙攣を合併することも良く経験されるところです。中でも脳炎・脳症の併発は死亡率も高く、たとえ治っても後遺症に苦しむことが多く十分な注意が必要です。インフルエンザが疑われる場合にはすぐに医療機関にかかることです。

 インフルエンザは感染者の咳・くしゃみ・唾などの飛沫中のウイルスを鼻腔や気管に吸い込むことで感染します。インフルエンザ流行期には極力人混みを避けることです。疲労や睡眠不足は感染の危険性を増します。外出時のマスク、室内の加湿と保温、うがいと手洗いの励行も基本中の基本です。不幸にして感染してしまった場合には、症状は出て48時間以内(可能な限り早く!!)に医療機関を受診することです。48時間以内であれば抗ウイルス薬が有効です。

1.塩酸アマンタジン(シンメトレル):内服、注腸。A型にのみ有効、薬剤耐性の問題、神経系の副作用に注意

2.ザナミビル(リレンザ):吸入。A、B型ともに有効。1日2回5日間吸入

3.リン酸オセルタミビル(タミフル):内服。A、B型ともに有効。予防投与の適応も。1日2回5日間内服。小児に対する異常行動(自殺企図)との関連

4.ペラミビル(ラピアクタ):点滴。A、B型ともに有効。約15分で点滴静注、1回の点滴で治療が完結

5.ラニナミビル(イナビル):吸入。A、B型ともに有効。単回投与で5日間作用

 薬の服用が済めば、あとは十分な休養と水分補給で万全です。無理をして学校や職場に出掛けることは他のひとへの感染の機会を増大し、自らも合併症のリスクを高めるだけの愚かしい行為と考えて自重して下さい。発症後7日間、解熱後最低2日間は学校・職場を休んでください。

 皆様、ご自愛下さい。新型インフルエンザのパンデミックが起きませんように。

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