第六話:標榜科目の問題

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IMG_1839.JPG               筍農園:真桑瓜

 

 診療所開設に当たっては、開設予定の所轄保健所長宛に、診療所開設許可申請書と診療所開設届出書を提出しなければならないそうです。地元保健所の担当者に事前相談に行ってきました。

 驚いたのなんの。筍診療所の名称としては、「◯◯総合診療クリニック」がもっとも理念に近い名称だと考え、この名前でいこうかと考えていますと担当者に言いました。直ぐに意外な答えが返されました。「総合診療」という言葉は診療所の名称としては未だ許可されていないのだそうです。

 既に何年も前から、大学病院などでは、「総合診療科」なるものが新設され、特に、ここ数年は「総合診療科」の専門医としての資格認定も議論されているのです。考えてもみて下さい。総合診療科を新設している病院には、一通りの診療科は存在するのです。なぜ今更、「総合診療科」などを作る必要があるのでしょうか。しかも、対外的な広告としては標榜できず、専ら、院内のみで使える呼称という中途半端な扱いです。

 総合診療はプライマリー・ケアを担当する一線の開業医にこそ、その責務を担わす必要があるものではないのでしょうか。僻地医療などその典型例です。独りでどんな病態にも対応しなければなりません。「総合診療医」であるべきなのです。内科だけでなく、外科だけでもない、総合診療医が担当すべきです。そういった人材こそが地域医療の担い手として相応しいのです。

 まあ、でもお役人の言うことは絶対です。ならぬことはならぬのです。一歩譲りました。ではこれでどうだと、「◯◯プライマリー・ケアセンター」という呼称を提案致しました。でもこれも駄目だとのことでした。余りの不合理が悔しくて、担当者とのムードもやや険悪になりました。でもその日はそこで引き下がってきました。

 翌日、厚生労働省医政局指導課の担当者に電話してみました。診療所の名称については、他部局も関係するので暫く待って欲しいとの返事でした。ひょっとしたら、状況が変わりつつあるのかと期待しちまいました。三日程後の返事は、それぞれの県毎に若干相違があるようなので、当該県の担当者と話しをしてみて欲しいとのことでした。

 行き掛かり上、県の健康福祉部医務国保課にも電話をしました。まあ、色々話しはされましたが、結局は「総合診療クリニック」も「プライマリーケアセンター」も駄目とのことでした。

 行政上の制約の実態を調べてみました。診療所の名称は、広告の一環としてその仕様に制限があると。病院と区別されやすいように、診療所とか、クリニックとか、医院とかを名称に付けるのが望ましいこと。使用禁止の例としては、「乳腺科クリニック」は駄目だが、「乳腺外科クリニック」や「乳腺クリニック」などは可。「◯◯総合内科」、「◯◯中央外科」なども駄目。優位性や優秀性を示す「理想的◯◯診療所」や「最強◯◯クリニック」も無論駄目。実態と異なる名称、例えば研究所の付属機関ではないのに「◯◯研究所付属◯◯診療所」も駄目らしい。でも「◯◯記念病院」や「◯◯記念診療所」は許可されているのだよね。いったい何の記念やら、よく判らないものも多いよね。

 行政の制約にはこれからも泣かされるのですかねえ。選別すべきは利用者であって、行政ではなかろうに。ともあれ、こうした理由で「如来山内科・外科クリニック」と決定された訳です。

2 thoughts on “第六話:標榜科目の問題

  • はじめまして。
    近所に住む者です。
    先日求人ちらしが入っており、また病院ができるんだなぁ・・・と、ちら見しただけでした。
    でもなぜかずっと名前が気にかかっていて、
    このHPにたどり着きました。
    先生の病院の名前に対する思い、驚きました。
    名前ひとつにそんなに制約があるのですね。
    何とも納得いかないですね・・・

    限りのある中で、先生なりに満足のいく名前になったのかな。

    総合診療をしてくださる病院が近くにできるので、とても感謝しています。
    自分自身、原因不明の痛みにずっと悩まされていて、病院を転々としています。
    母の介護もしていますので
    家族ぐるみで診てもらえる病院が近くにあったらと常々思ってました。

    ありがとうございます。

    • 医療事務員さん
       コメントお寄せ頂きどうも有り難う御座います。今後ともよろしくお願い致します。

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