数ヶ月前の朝日新聞の「オピニオン&フォーラム」の東京都在住の大学非常勤職員、56歳の女性の投書が掲載されていました。90歳の父を看取った際の家族の心情を伝えるものでした。
誤嚥性肺炎で病院に搬送され、亡くなられるまでの1ヶ月間は絶飲食のままだった。医師から延命処置の意向を尋ねられ、無理な延命は不要と答えられ、病院側はカルテにDNR(Don’t resuscitation;延命処置希望なし)と記載し、これを遵守した。
死の当日、心電図のアラームがなっても看護師はなかなか来ず、到着した医師には、「もう心臓止まってますよ」と言われた。救命処置すら行われなかったと胸かきむしられる思いだった。無理な延命は望んでいなかったが、延命措置の差し控えに至る医療現場での過程があまりにもずさんだと感じた。

終末期でどのような医療やケアを望むのか、といったことを書面に予め残すことが推奨されています。ですが、この記事が典型と思われますが、医療側と患者・家族側の認識に、時として大きなズレが生じやすいのもまた事実です。

終末期の患者や家族をどう支えるのか。

無理な延命は望まないが、それなりの対応は取られるべきだとの、投稿者の気持ちもわからないではありません。

終末期という人生の土壇場での感情の齟齬は、残されたものにとっては長く辛い悲しいものとなります。

医療者として、十分に留意したいと思います。

それとともに人としての感性を磨かねばとも感じます。

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