あまりに有名な唱歌、“卯の花の 匂う垣根に ほととぎす はやもきなきて しのびねもらす 夏はきぬ”。
卯の花とはいったいどんな花なんだろうと居りましたが、なかなかそれを知る機会がありませんでした。
朝の散歩の道すがら、まるで降り掛かるように公園の山肌に白い可憐な花がひしめいて咲いております。その一つをよくよく眺めれば、五弁の非常に整った星形をした真白き花。日ごとに咲きそろってゆくのを、ときにはそっと触ってみたり、顔を近づけてその精妙さに惚けております。
もうすっかり古びてしまった「牧野日本植物図鑑」でその花の名を探すうち、これこそが“卯の花”であると初めて知りました。卯の花は正式にはうつぎ(卯木、空木)と呼び、ゆきのした科うつぎ属の落葉低木、葉は対生、花は多く白色で五弁、夏の季語。材は中空にして「空ろ木(うつろき)」が転じて「空木(うつぎ)」となった由。
「月すでに ひかりを得たり 花うつぎ」 みのる
「卯の花や 佛も願はず 隠れ住む」 虚子
「足袋ぬいで 卯の花腐し ゆく娘かな」 椎花
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