
新緑の季節となりました。山々は早緑から深緑まで、実に様々な緑色で鮮やかです。緑、それは草木の新芽、また初夏の若葉、青と黄色の間色、そして深い藍色。緑は寒色、光の三原色のひとつ、波長は546.1nm、碧あるい…

クリニックを開設してから約二ヶ月半が経過致しました。先週初めて、電子カルテの受診者一覧の画面が全て埋まりました。そして、昨日も二度目の達成となりました。嬉しくもあり、有り難くもありと云ったところです。 看護…

『山中の月』 真山民、姓も名も出身地も出生年代も全て不明。専ら山中に隠遁し、自らを真山民と称す。詩編一編を残す。 「山中の月」 真山民 我愛山中月 烱然掛疎林 為憐幽独人 流光散衣襟 我心本如月 月亦如我…

さくらは主として北半球の温帯に広く分布。美しい花の咲く種類はアジア、特に日本列島が中心で、多くの種類が集中している。春、白色、薄紅色から濃紅色の花を開く。古来、桜は花王と称され、花と云えば桜を指した。日本の国花。 さくら…

いつものことながら 花の頃は落ち着かぬ 咲き始めから 僅か旬日の儚さ 花に嵐の例えのごとく その盛りには決まって 花散らしの雨が降る 世はまさに春爛漫 花の下で浮かれ酔うひとびと いま少し こころしずかに …

河童伝説は日本全国至る所にあります。河の童、河のわっぱ、がわっぱ、がっぱ、かっぱと呼ばれるのでしょうか。また、河太郎という呼び名もあります。これが訛って、がいたろう、げーたろう、がたろうと呼ぶのでしょう。 河童は、頭…

ひとの生死の繰り返しはの、まっこと澱みに浮かぶ泡沫(うたかた)じゃあ、かつ消えかつ結びてのう。儚いもんじゃ。 あっという間に喜さぶの四十九日の忌明けの葉月己(つちのと)巳の日となったんじゃ。いごけるもんの殆…

リラの蕾 どれほど昔のことじゃったか、今はもう定かではないがの。木の國平井の庄、立岩の淵のちっと上に喜三郎という百姓と権八ちゅう牡牛があったげな。喜三郎は働きもんで、いっつも権八と一緒でのう。…

幾重にも折り重なった南紀の山々に分け入り、彼方の山の頂やこなたの深い谷筋などを眺めるとき、いかにも松根の松太郎が樹々の間からヌッと顔を出してもよさそうな、そんな不思議な何物かの気配を妙に生々しく感じることがあります。 こ…

「どれどれちっと眼え開けて、儂の指を追いかけるんじゃ。よしよし、こいでお仕舞いじゃ。あとはの、この眼薬を毎朝毎晩注すんじゃぞ。忘れちゃあかんぞ。だんだん見えるようになるでの。心配せんでええ。きっと治るでの」 熊野川の源庵…