第百三十九話:『最新がん情報』

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5月2日、国立がん研究センターがん対策情報センターより、最新がん統計が報告されました。

これによると、2010年度に新たにがんと診断されたひとは、男性が468,000人、女性が337,000人、合計805,000人を越えました。これは1975年集計の206,000人のなんと約4倍です。高齢化の影響によるところが大きいものとされています。部位別でみると、男性では、胃がん、肺がん、大腸がんの順、女性では乳がん、大腸がん、胃がんの順となりました。

生涯にがんに罹患する確率(累積がん罹患リスク)は、男性が60%、女性が45%で、男性では、胃がんになるひとが9人に1人、肺がんが10人に1人、大腸がんは11人に1人、次いで前立腺がんが12人に1人の確率となっています。これに対して、女性では乳がんになる確率は12人に1人、大腸がんが14人に1人、胃がんは18人に1人の確率となっています。

一方、がんで死亡されたひとの統計(2012年)をみると、がんで死亡したひとは、男性が215,000人、女性が146,000人、合計で360,000人余り。男性では肺がん、胃がん、大腸がんの順、女性では大腸がん、肺がん、胃がんの順、全体では肺がん、胃がん、大腸がんの順でした。

年齢別では、40歳以上の男性では消化器のがんが多いのですが、70歳以上になると肺がんと前立腺がんの割合が増加します。これに対し、40歳から60歳代の女性では乳がん、子宮がん、卵巣がんが多く、高齢になるほど肺がんと消化器のがんが増加するという結果でした。

2012年度のがんの粗死亡率は人口10万人あたり、男性350.8、女性225.7でした。がんによる死亡率は男女とも40歳代以降から加齢とともに増加していきます。

生涯にがんで死亡する確率(累積がん死亡リスク)は、男性が4人に1人、女性が6人に1人の確率でした。

昭和56年から現在まで、がんは一貫して日本人の死亡原因の第1位です。昭和58年、厚労省は老人保健法で市町村にがん検診の実施を義務づけました。それから30年以上が経過した現在においても、「がんをどう克服するか」という命題は、依然、未解決のままです。がん検診では解決できないのは明らかです。統計学的にがん検診が有効と判定されたものは、僅かに便潜血法による大腸がん検診と視診と内診と細胞診による子宮頸がん検診の2つだけです。残りの胃がん、肺がん、前立腺がん、乳がんでは、明確な有効性は証明されてはいないのです。

勿論、がん検診とはいまのところ症状のないひとにおいてのより早期のがん発見への努力です。ですが全てのひとを対象とした一律的ながん検診には筍は早くから反対でした。たまたま早期ガンが発見されたひとは幸いですが、まるで闇夜に烏を狙うがごとき所行です。見落としによる紛争沙汰や、偽陽性判定での無駄な精密検査の施行などの問題も数多く存在します。

統計学的に有効と判定された大腸がん検診と子宮頸がん健診は現行のまま続ければ良いのですが、その他の四種のがん検診は費用対効果の点からも早急に見直すべきです。

子宮頸がんはヒトパピローマウイルスに対するワクチン接種の徹底で防ぐことが可能です。胃がんもヘリコバクターピロリ感染がその主たる原因であることが既に明らかです。感染者に対する除菌療法の徹底と、ピロリ菌抗体の有無とペプシノゲン検査の併用で、そのリスクが判定できるのです。

群馬県高崎市のデータでは、胃がん一例を発見するための費用は、(精密検査のための胃内視鏡検査の費用を13,000円で算出)バリウムによる間接X線撮影法では3,310,000円、直接X線撮影法では7,090,000円もの費用を要します。

胃がんのリスクは、ピロリ菌抗体とペプシノゲンを調べれば同定可能なのです。胃がんのリスクを知ることで警戒レベルを決めればよいのです。しかもABC健診は採血のみで判定可能なのです。ピロリ菌抗体とペプシノゲン検査によって、ピロリ菌抗体陰性+ペプシノゲン検査陰性であれば判定はA判定となり、胃がんのリスクは低いものと考えられます。ピロリ菌抗体陽性+ペプシノゲン検査陰性であればB判定、消化性潰瘍などには注意を要します。ピロリ菌抗体陽性+ペプシノゲン検査陽性であれば判定はC、胃がんのハイリスク群です。毎年の内視鏡検査が必須です。ピロリ菌抗体陰性+ペプシノゲン検査陽性のD判定となれば、さらなるハイリスク群ということになります。胃がんへの警戒を厳重にしなければなりません。

高崎市のデータでは、リスク判定に要した費用は胃がん一例あたり1,830,000円でした。一人当たりの検査費用で見ると、間接X線法が4,116円、直接X線法が11,311円、リスク健診は1,300円と安価です。高崎市では胃がん健診を取り止めて、このリスク健診に変更することで年間50,000,000円の費用の削減につながったということです。

 

如来山内科・外科クリニックでも胃がんのリスク検診;ABC検診を行っております。バリウムを飲むのが苦手なひとは是非一度御相談下さい。

 

 

 

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