
ある“みくまの”の老夫婦のこと。何ということもなくふと思い出すことがあります。いや今ではもうお二人とも居られませんが・・・。 爺さんの名前は道晴、婆さんの名前は珠恵。おふたりとも、傘寿をとうに過ぎております…

「値段の高い薬ほどよく効く」 クリニックの支払いは高い、高いと文句をいうが、効きもしない得体の知れぬ通販などの馬鹿高い健康食品は喜んで買っとる。「値段が高い薬はいい薬、だから効く」のではなく、…

なんだか深刻そうな顔をして診察室の椅子に腰を下ろしたお藤婆さん、曰く、 「ずっと前からせんせに、云おう、言おう、とは思うとったんだが、よう云わんかった。今日は思い切ってゆうで、怒らんといてよ。…

あまりに有名な唱歌、“卯の花の 匂う垣根に ほととぎす はやもきなきて しのびねもらす 夏はきぬ”。 卯の花とはいったいどんな花なんだろうと居りましたが、なかなかそれを知る機会がありませんでした。 朝の散歩…

「慣れねばならず狎れてはならず」 その昔、先輩外科医から教わった言葉です。立派な外科医になるためには、解剖学によく精通し、手術基本手技の習得に万全を期し、突発的な事態が起こったときでも、常に冷静に対応すべく…

梅雨のこの時期は、紀州の山間ではきっと笹百合が咲き始めているころでしょう。杉や檜の樹間に山肌を見上げると、雨粒に濡れやや傾いだ笹百合の群生を見ることができるのです。残念なことに最近では猪の食害や、都会からや…

「可意」 良寛 無欲一切足 欲無ければ一切足り 有求萬事窮 求むるあれば万事窮す 淡采可潦餞 淡采餞を潦す可く 衲衣聊纏躬 衲衣聊躬に纏う 獨往伴麋鹿 独り往いて麋鹿を伴とし 高歌…

夢親 芳草萋萋日日新 動人帰思不勝春 郷関此去三千里 昨夢高堂謁老親 芳しい春の若草が勢いよく日一日と生い茂ってきます。この春の陽気が私に故郷のことを思い出させ、帰りたい気持ちで…

1999年7月10日土曜日、4歳の男の子が兄と一緒に母親に連れられて盆踊り大会に遊びに来ていた。兄弟は綿菓子を買ってもらって食べていたが、母親は、チケットを手に入れるため、兄に「弟を見ていてね」と伝え、その…

2006年、末期がん患者など7人の人工呼吸器を本人あるいは家族の同意なしに停止、患者を死に至らしめたとして、富山県の市立病院に勤務する50歳の外科部長が取り調べを受けた事件、皆様ご記憶でしょうか。 この事件…